孤独論 逃げよ、生きよ 田中慎弥(著) 徳間書店

はじめに

今回は、芥川賞作家の田中慎弥さんの人生論をまとめた本について書いていきます。2012年に「共食い」で芥川賞を受賞したのですが、そのときの反抗的な発言で有名になった人です。でも、インタビューや著者の本を見てみると、この人はものすごく真面目な人間とわかります。

この人の本はいくつか読んだことがあるから、いつかブログに書こうかなと思います。結構前に読んだので、読み直す必要がありますが。そういえば、読書の仕方で、1 冊の本をじっくりかつ何度も読む方法と、たくさんの本を軽く読む方法がありますね。つまり、精読と多読ですね。あれはどっちがいいんだろうか。まあ、ケースバイケースなのかな。勉強のつもりなら、精読の方が大切だろうけど…。でも僕は「勉強するぞ」って気持ちで本を読むと長続きしないので、精読・多読はあんまり気にしなくていいや。その時々で、臨機応変に読み方を変えようと思います。

感想

孤独論 逃げよ、生きよ

今回は「孤独論 逃げよ、生きよ」について書いていきます。概要は以下のような感じです。
「現代人の多くは、仕事や人間関係によって、思考が停止してしまって自分の人生を失っている(この本では奴隷状態と言っている)。このような状況から抜け出すためには、逃げて、孤独に生きることも大切である。この本では、著者の人生を基に、なぜ現代人が奴隷状態になっているか、そして奴隷状態から抜け出すにはどうすればいいか述べている。」
著者は高校卒業後、大学進学も就職もせずにずっと小説を書いていました。デビューした時は30歳を超えている状態で、それまでは孤独に小説を書き続けていました。10年以上引きこもって、一人で小説を書き続けた人物の人生観がとても興味深かったので、この本を読んでみました。
孤独について述べた本はいくつもありますが、実際に10年以上引きこもって何かをやり続けた人の体験談を交えたものはとても説得力があり、面白かったです。高校や大学時代の知人たちは、孤独に対してネガティブなイメージを持っている人がほとんどでしたが、僕はそうは考えませんでした。何かを一生懸命やろうとしたら孤独なときは必要でしょうし、周りに合わせて自分のしたいことを我慢するのはストレスになると思います。孤独は人生において大切な時間であって、それを否定してしまってはもったいない気がしますね。孤独なのは自分の人生を生きている証拠とポジティブに考えることも大切なのかなと思います。本書では、孤独の大切さがたくさん述べられていて、共感できる部分も多く、また、新たな視点を提供してくれたいい本でした。